KIRBYTHESTORY2「英雄再誕編」10
ガギィィィン!
「間に合った!」
ボクはローライルとサジタリウスの間に入り込むことに成功し、剣を受け止めた。
しかしサジタリウスは尻餅をついてしまう。
「ふぅ…やられちゃったな」
ローライルが剣を消し、苦笑しながらつぶやいた。
「え?ボクはまだ防いだだけで攻撃なんてあててないよ?」
ボクは剣を構えたまま聞き返す。
「(苦笑)やっぱり無意識か、サジを助けるために…後ろ向いてごらん?」
「え?うん」
そう言われて後ろを向くと、
「!?」
さっき戦っていたほうのローライルのちょうど腹に足あとが大きくついていた。
「さっきあんなにダッシュできたのって…」
「うん。ボクを壁代わりにしてたね」
全然気づかなかった…っていうか三日間あるはずの修行の一日目がこんな形で終わるなんて…
「そういえばレイドは能力を使わなかったね」
「まだ、ちょっと人に使うのは抵抗があるから…」
そう、ボクはおじさんや、ミカエルさんから少しは戦い方を学んでいる。それは剣だったり、能力だったりする。
「でもレイド、やらなければいけないときもあるってことを覚えておいてね」
「…うん」
「じゃあ、少し休憩しようか、ノルマはクリアしたし」
そう言ってローライルは歩いていく。
「…あの」
小さく後ろからそんな声が聞こえた。ボクはそちらに顔を向ける。
「さっきは…えっと、その…」
サジタリウスが俯きながら小声で言っているがなんとか聞き取ることができた。
「…ありがとう」
サジタリウスが笑う。
「別にいいよ。サジタリウス」
それにボクも笑顔で返し、手を差し伸べる。
ボクの手をとって立ち上がると、サジタリウスがすさまじい速さで後ろを向いた。
「どうしたの…?」
「…じ…いい…」
小さすぎて聞こえなかった、ボクは間抜けな声を出してしまう。
「え?」
「サジで…いい、サジタリウス長いから…」
「ああ、うん。ボクはレイドでいいよ」
「…うん。私、おじさまのところに行ってくる」
「わかった」
サジがローライルのほうに走っていく。その口元はほころんでいて何かを呟いていた…気がする。